今回は、私が実際に経験したり、救急部の同業者達に聞いた話を含めて、昼夜問わず鳴り響くサイレンの音の先ではどんなことが起こっているのかお話しします。
総務省消防庁の統計によると令和4年の救急車出動回数は「722万9,838件(対前年比103万6,257件増」になります。
過去最多を更新したそうです。
全国の救急隊の皆さん、医療従事者の方々、本当にお疲れ様です。
下図は「事故種別」・「年齢別」・「疾病程度別」の割合になります。
これらを見ても、現場の感覚としては、当直中に限らず呼ばれることが多いと感じるのは間違いないのかなと思います。
また、「walk in(ウォークイン)」と言って、自分で救急外来に来られる患者さんもいらっしゃいますので、肌感覚としては、救急外来での対応はこの5-6倍以上あります。
※勤務している病院や専門科にもよってきます。この偏在化も問題ですね。
持病をお持ちの方が多いので高齢者は多いですし、年齢に限らず、大半が中等度-軽症の方が多いのも納得できる統計結果かなと思います。
少子高齢化はどんどん進みますので、このままでは、出動回数は増える一方です。
どうするんでしょうか?
三重県松阪市では、救急搬送されながら入院に至らなかった場合、患者から「選定療養費」として1件につき7700円を徴収することになりました。
開業医・勤務医共に8割の医師がこの法案に「賛成」とのことです。
私も賛成ですが、値段設定が謎ですし、入院するかどうかで揉めそうな気がします。
一部の意見では、「医療費として全てに一律として請求するべき」とあります。
確かに、入院して治療することになれば、「高額医療制度」により負担が軽減されるため、見かけ上は平等になります。
今後は、一律で徴取される流れになりそうですが、小児に関しては、医師でも判断に迷う場合があるので、その他の例外規定も必要でしょう。
また別枠でお話しするかもしれませんが、walk inを含めて救急対応でのヘンテコ実例を。
①昨日からうんちが出なくて、心配になってきました。
②鼻血が止まらなくて来ました。(今月3回目)
③お薬がなくなりました。
④警察から逃げて怪我しました。
⑤包丁で指を切りました。(薄皮1枚)
⑥先週、足首を捻りました。
⑦半年前から腰が痛いです。
などなど、まだまだ出てきます。
なぜ、この時間に来たのか?眠たい目を擦りながらトボトボと当直室に帰ります。
あとは、仕事の都合で時間外にしか来れない方や、そういった方に連れられる子供達が結構います。
これを「コンビニ受診」と言います。
日中の外来は待ち時間が長いし、仕事もあるし、時間外料金を払った方がいいと考えるのも、ある意味タイパがいいのかもしれません。
※小児の患者さんで、親御さんの仕事の都合がつかない時は、時間外に救急外来で再診として診ることもあります。救急部の看護師さんたちや当直事務の方にご迷惑をおかけするので、本当は控えた方が良いのですが。
最後になりますが、救急車は呼ぶ権利は誰にでもありますし、躊躇してはいけません。
しかしながら、統計として、半数〜9割が必要でない判断できます。
躊躇してはいけないとは言いましたが、
熱はありますか?
外傷はありますか?
急性(突然)のものですか?
歩けていますか?
一瞬でもいいので、よく考えましょう。
本当に一刻を争う人がいますので。
そして、政府の方々、広報活動よろしくお願いします。
ご意見・ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。
おしまい