闇医者Blog

闇医者です。界隈の言えないこととか書いてます。

病院選びと口コミ評価

医師によるGoogleへの集団提訴がニュースで取り上げられています。

病院を評価する方法がない以上、患者さんが口コミに頼るのは仕方がないことだと思います。

ただ、口コミ内容にはひどいものもありますよね。

そのことについて、個人的な見解を投稿致します。

医師はサービス業だと思います。

顧客である患者さんの症状や検査結果を用いて診断し、より良い生活を送るための手助けをします。

以前に美容医療業界のことをお話しましたが、不動産や冠婚葬祭と同様に、顧客側に知識がないため、本当に適切なものなのか判断するのは困難だと思います。

yamiishasan.hatenablog.com

医師は日々進歩する医療の知識をアップデートする必要があり、エビデンスに基づいた適切な検査・治療が求められます。

医師本人の意図しないところで、治療方法が適切でない場合もあります。

したがって、他業種と同様に旧態依然の人間が一定数いる以上、当たり外れがあるのは間違いないと思います。

私自身も正直、行って欲しくない病院はあります。

それは、紹介されるまでの治療が明らかに不適切だったり、口では大丈夫と説明しながらも紹介された時には手遅れだったり、専門家だからこそ分かる視点で行って欲しくないと思うのです。

おかしな病院はこういった紹介が非常に多いのです。

※そのような病院はその地域の医療業界では有名です。もちろん患者さんにそのような情報は伝えません。

 

では、患者さんにとってはどうでしょうか?

それは、ご本人が医療に「何を求めるか」で異なってくると思います。

「話を聞いて欲しい」「薬だけ欲しい」といった方もいますが、一番多いのは「しっかり診て欲しい」だと思います。

しかし、「しっかり」とはどう意味でしょうか?

隅から隅まで検査して、全ての除外診断を行って、診断名をつけることでしょうか?

はっきり言って、それは間違っています。

なぜならば、私達は国民皆保険制度に加入しており、医療費の一定割合を税金で賄っているからです。

日本は不必要な検査が多く、精査したからと言って、治療方法が変わらないことが往々にしてあります。

もちろん、患者さんの状態によっては精査が必要な症例もありますが、そもそも、すでにガイドラインで定義されています。

 

私が良くないと思う病院は、患者さんが知らないのをいいことに、不必要な検査を盲目的に追加したり、不必要な治療をしたり、治療を長引かせようとしているような悪意に近いものを感じる病院です。

※前述したように、医師自身が気づいてない場合もあると思います。

しかしながら、このような病院が評価される場合があります。

それは、患者さん自身が「しっかり」診てもらっていると感じているからです。

受診したが最後、気づくまで抜け出せません。

気づくことすら出来ません。

「そこには行くな」と喉まで出ていますが、言えません。

 

このような不必要な検査や治療が蔓延する背景に診療報酬の問題があります。

国民皆保険制度とも関係しますが、各検査・治療・診察等に診療点数が付けられており、総点数分の診療報酬が病院の利益になります。

人件費や機材費などを考える必要はありますが、基本的には、検査や治療をすればするほど利益になるということです。

※中には、割りに合わない治療などがあります。例えば、必要なのに保険で診療点数がつかないとか、診療点数が低すぎて元が取れないなどです。

開業医と勤務医とで年収が大きく違う闇の部分でもあります。

日本医師会「診療報酬」: https://www.med.or.jp/people/what/sh/

 

現状、口コミ以外に病院を評価するすべがないのは困りものです。

口コミの悪いところは、不満を感じる人によって投稿されることが多く、低評価がつきやすいということです。

満足している患者さんは、わざわざ口コミなんかしないですよね。

さらに、飲食店へ「味」を求めるのとは違い、病院の顧客はそれぞれ求めるものが異なるため、評価基準が曖昧になっています。

統計学的に考えても、口コミは高評価/低評価共に当てにはならないという事実は知っておくべきだと思います。

 

「病院を選ぶ」=「医師を選ぶ」で概ね賛成して頂けるかと思います。

そのためには「自分で知識を得る」しかないと思います。

世の中には、治療中の病名を知らない患者さんがいます。

いつも驚くことなのですが、「なんでこのお薬飲んでるの?」と聞いても答えられない。

高齢患者さんがネットを利用するのは少し酷かもですが、自分の身体のことなので、周辺知識を調べることは必須ではないでしょうか?

※調べたら調べたで、サプリメントや民間療法に流れてしまう悲しい現実も。。

ただ実際は、医師が患者さんに十分に説明できていない可能性があります。

診察後に「自分の病名が何で、どのくらい説明できるか」が重要だと思いますので、どのような医師に出会えたのかの目安にしてみて下さい。

 

また一般的には、いくつも病院を巡る「ドクターショッピング」は良くないと言われています。

しかしながら、皆さんは不動産屋や結婚式場を色々と回りますよね?

それと同じように、患者さん自身が病院を能動的に選ぶ時代になるべきだと思います。

そうなると困るのは、実力はもちろんのこと、接遇教育が不十分であったり、経営に向き合わない病院です。

そのような病院は無くなった方が良いと思います。

 

謎に評価が高い病院は、「患者さんの言いなりに検査を入れまくる、診断書を書きまくる、お薬を出しまくる」といったのが業界あるあるです。

故意に騙すような医療従事者はいないとは思いますが、身を守るために知識を得る努力をしましょう。

最後になりますが、外来中に80代女性から「私は1割負担だから、できるだけ検査をして」と言われて、若輩ものながら怒ったことがあります。

その時は日本は終わったと思ってしまいましたね笑

 

ご意見、ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。

おしまい。