以前、腰痛についてお話しさせて頂いたので、今回は「膝関節痛」について、変形性膝関節症ガイドラインを参考に調べてみました。
以降は、「変形性膝関節症ガイドライン(2023年)」をもとに「保存加療」をメインに記述しています。
関節痛は外来診療で最も多い主訴の1つになります。
後述する「変形性膝関節症」の痛みと関連する因子は、「性別(女性)」「肥満」「大腿四頭筋(太もも)の筋力低下」「膝の外傷歴」です。
国内に700-1000万人の罹患患者がおり、年齢とともに増加します。
特に、日本人はO脚変形による膝内側部痛で発症することが多いです。
下図は、「変形性膝関節症」を含めて、年齢や発症機転別に大まかな疾患名をまとめたものになります。
「変形性膝関節症」と診断された場合、よっぽど進行していない限り、まずは「保存加療」が選択されます。
その「保存加療」も多岐に渡りますので、ご自身が受けている治療が推奨されているのかどうか、確認して頂ければ幸いに存じます。
皆さんはどのような治療をされていますか?
下図は、「変形性膝関節症」に対する「保存加療」について、「エビデンスの強さ」と「推奨度」をまとめたものになります。
以下に、簡単ではありますが、それぞれの治療効果等をまとめてみました。
ガイドラインでは「外用剤」、いわゆる、「湿布や塗り薬」は重篤な合併症がないため使いやすく、メリットが勝るため、推奨度が最も高くなっています。
同様の理由で「運動療法」も推奨されています。
そのほかの治療に関しては、いずれも同程度の推奨度のため、症状に応じて、担当医師と一緒に治療を考えることになります。
個人的には、私自身も愛用している「NSAIDs(ロキソニン・セレコックス)」が一番効くと思っていますが、胃や腎臓に負担がかかるため、高齢の患者さんには使いにくいと思います。
また、腰痛と同様に、膝関節痛においても、「教育」が非常に重要になってきます。
「変形性膝関節症」は変性疾患であり、年齢とともに緩徐に進行するものであると理解することが大事です。
緩徐に進行する疾患に対しては、その病態を理解して、それに則した生活様式や治療法などに自らも積極的に関わることが大切だと考えます。
医師に任せるのではなく、「何ができるようになりたいのか」目標を明確にして、一緒に治療を考えて下さい。
何よりも問題になるのは、「痛みにより運動機能が低下すること」なので、いつまでも歩けるように頑張りましょう。
※運動機能の低下により、全身の筋力低下が進行することは寿命を縮めることとイコールになります。
ちなみに、「サプリメント」に関しては、現時点で「効果がある」証拠はありませんので、各自の判断で購入を検討して下さい。
ご意見・ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。
おしまい