ダニに噛まれたらどうする?対策を解説
5月に入りかなり暖かくなりましたね。
天気が良い日には、山登りやハイキングを楽しむ方々が増えたのではないでしょうか。
そんな季節になると、救急外来には「ダニに噛まれた」と患者さんが来るようになります。
今回は、「ダニ咬傷」について解説していきたいと思います。
とりあえず、困ったらこの記事を読んでいただければ大丈夫です。

「Razai MS, Doerholt K, Galiza E, Oakeshott P. Tick bite. BMJ. 2020 Aug 13;370:m3029」を元に参照文献を孫引きして調べております。
ダニ
主に野外に生息し、哺乳類(ヒトを含む)や鳥類、爬虫類から血を吸う節足動物です。
ダニは日本紅斑熱(JSF, リケッチア症)やライム病(LD, ボレリア症)などの感染症を伝播します。
ダニ媒介感染症は特定の地域に比較的限定されていて、効果的な抗菌薬もあるため、日本ではダニによる咬害をそれほど恐れない傾向がありました。
しかしながら、2013年に重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)が報告され、注目を集めています。
日本では咬傷を生じるダニは6種類いて、地域によって異なります。
SFTSを媒介するマダニは主に「西日本」にいます。※最近、福岡で高齢女性が死亡しています。
また、ライム病を媒介するマダニは「市街地などを除く北海道・青森の全域」や「本州・四国・九州の山林部(標高900m以上)」に存在します。
「ダニに噛まれた!」対処法
(1)ダニを確認する
まずは、ダニを確認して吸血の有無を判断しましょう。
血液を吸っていればお腹が大きく膨らんでいます。
(2)かまれてからの時間を確認
ダニ咬傷はほとんど症状がなく、気付くまで2~3日、長いと1週間ほどかかることがあります。
ダニがかみついてから24時間経過すると食いつきが強くなり、攝子では除去が困難になります。
噛まれてから3日以上経過した場合はマダニ媒介感染症のリスクが高くなるため、外科的除去がより強く推奨されます
(3)ダニの除去
基本的にダニの体には触らないことが理想です。
なぜなら、体を押すと病原体や毒が体内に入ったり、体をつまんで除去をしようとするとダニの口が残ってしまったりします。
したがって、1つ目の方法は「無鈎攝子でダニの口器をつかんで除去する」です。

2つ目の方法として、「Tick twister」という動物用のダニ除去器具を用いる方法です。
ダニの口は縦方向の力に強いため、攝子で引っ張るには力がいります。
Tick twisterを皮膚とダニの間に挟んで軽く持ち上げながら回転させることで非常に簡便に除去できます。
口器を意識せずに使用できるのも利点です。

口が深く入って把持できなかったり、ダニ咬傷となってから3日以上経っている場合は外科的切除が必要になります。
その場合は、「ダニの周囲を円錐状に切除して皮膚ごと除去」します

(4)除去後の処置
まずは創部を洗浄します。
基本的に、マダニ媒介感染症のリスクは低いため、抗菌薬の使用によるリスクがベネフィットを上回ります。
したがって、ダニにかまれた場合に全例で抗菌薬を使用することは推奨されていません。
しかし例外として、北海道や東北地方の山間部でダニに噛まれた場合、吸血して肥大化していれば、前述した「ライム病」のリスクが高いため、ドキシサイクリン(200mg)単回投与が推奨されます。
ここからは個人的な見解になります。
ダニに噛まれても、比較的早期に発見でき、丁寧に口器を除去できれば問題ありません。
実際に、感染症に罹患したどうかは、数日待って症状が出ないと分かりません。
症状自体も、一般的な「かぜ症状」のようなものでつかみどころがない場合がほとんどです。
皆さんもダニに噛まれた際は慌てず対応するようにしましょう。
ご意見、ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。
おしまい。