闇医者Blog

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指関節の痛み(母指CM関節症)

今回は「指関節の痛み」シリーズの第2弾です。

↓第1弾はこちら

yamiishasan.hatenablog.com

日常生活でこのような悩みはありませんか?

・指が痛くて物を掴むのがつらい

・ドアノブやペットボトルのフタを回すのがつらい

当てはまる人は、母指CM関節症(母指手根中手関節症)かもしれません。

 

「Eaton RG, Lane LB, Littler JW, Keyser JJ. Ligament reconstruction for the painful thumb carpometacarpal joint: a long-term assessment. J Hand Surg Am. 1984 Sep;9(5):692-99」他、いくつかの論文を参考にしております。

 

症状

主な症状は、「つかむ(Grip)」や「つまむ(Pintch)」など母指(親指)に力がかかる動作で「手首の母指の付け根付近」に痛みが生じることです。

進行すると、外転障害と言って、「母指が開きにくく」なります。

痛む場所は下図を参照して下さい。

母指CM関節症(イラスト&レントゲン)

母指CM関節は、赤丸の箇所になります。

※右手首の内側に左母指を当てて、ボコっと凹んでいるところのちょっと先です。(右母指をゆっくり動かすと第1中手骨に触れるの分かりやすいはず、、)

 

原因

1. 手の使い過ぎ

2. 加齢

手をよく使う職業や主婦の方に多い疾患です。頑張った証ですね。

膝関節などと同様に、あらゆる関節には軟骨が存在します。CM関節も例外ではなく、上記の原因により、軟骨が摩耗することで、関節に炎症が起き、痛みが生じます。

軟骨の痛み具合/病期の進行度を「Eaton分類」(下図)StageⅠ-Ⅳに分けます。

女性の方は、更年期や妊娠を契機にホルモンバランス(エストロゲン)のバランスが崩れ、手指の痛みを呈することがあります。(中年女性の10%が罹患しています)

Eaton分類(病期の程度)

治療法

1. 患部の安静 (装具などによる固定)

2. 消炎鎮痛剤 (NSAIDs, ステロイド注射)

3. リハビリテーション (ハンドセラピー)

3. 手術 (下図参照)

まずは、患部の安静と痛み止めの内服から始めます。

毎回、患者さんには安静にしましょうねと言いますが、普通に考えて無理ですよねw

手は毎日使うわけですから。

保存治療が奏功しない場合(半年程度)は、手術を選択することになりますが、術式は色々あります。

一つずつメリット・デメリットがありますが、詳細は専門的すぎるので、いくつか簡単にまとめてみました。

母指CM関節症の手術方法

母指CM関節症(関節固定術)

母指CM関節症(骨切り術)

ここからは個人的な見解になります。

欧米と日本では、「患者さんが求めること」「文化的背景」が異なるため、流行りの術式も異なっています。

日本人、特に日本人女性は、我慢強いのでStageⅢまで進行して来院される方が多いです。

そのため、必然的に術式も絞られてきます。

関節固定は、文字通り、関節を固定してしまうので、欧米人の感覚からすれば、手術ミスに近い印象のようです。

その点、日本人は寛容というか、可動性を犠牲にして痛みを取ることに比較的抵抗がないと思います。

もちろん、細かい作業が術後も必要な方がいらっしゃるので、コミュニケーションをとって

最適な治療法を選択するようにしましょう。

 

ご意見、ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。

おしまい