小林製薬の機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」の摂取によって、健康被害が相次いでます。
厚生労働省は、「プベルル酸」という物質が意図せずに混入していたことを明らかにしました。
「プベルル酸」は青カビから発生する毒性が強い成分だとか。
果たして真相は?
以降は、
「Divergence of metabolites in three phylogenetically close Monascus species (M. pilosus, M. ruber, and M. purpureus) based on secondary metabolite biosynthetic gene clusters. BMC Genomics. 2020 Oct 1;21(1):679」
「Traditional Chinese lipid-lowering agent red yeast rice results in significant LDL reduction but safety is uncertain - a systematic review and meta-analysis. Atherosclerosis. 2015 Jun;240(2):415-23」
という論文を元に、参考文献を孫引きしながら調べております。
「紅麹」は昔から黄色や赤色の食品着色料の製造に広く用いられていました。
沖縄の「豆腐よう」は「紅麹」を使用しており、発酵食品として有名です。
※「豆腐よう」が赤くなるのは、この「紅麹」のおかげです。美味しいです。
また、伝統的な中国医学では、心血管疾患に有益な効果があると知られていました。
西洋医学でも研究が進み、「紅麹」菌種は「モナコリンK」という代謝産物を生成し、HMG-CoA還元酵素を阻害することが明らかにされました。
※HMG-CoA還元酵素阻害剤はスタチン系と言われる脂質異常症の治療薬です。
しかしながら、「シトリニン」という腎毒性を持つ代謝産物も同時に生成することが問題となっていました。
今回、参照した論文には、「シトリニン」を生成しない菌種が報告されており、こういった菌種を用いてサプリメントの製造を行なっています。
では、なぜ健康被害が起こったのか?
2015年に過去の「紅麹」関連の論文を体系的に評価したレビューによると、副作用を明確に評価したものは存在しないとされています。
小林製薬のHpには、2023年に「米紅麹配合食品によるコレステロール関連指標改善効果および安全性の評価」と題した論文が記載されています。
※「Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)」という日本雑誌に提載されていますが、正直どんな感じの雑誌ですか?誰か知っていたら教えて下さい!
内容はOpen accessではないため、読めていないのですが、有効性・安全性は評価できているのかな?
ここからは、個人的な見解になります。
有効成分である「モナコリン」は、発酵による代謝産物であるため、生成量を正確に調整することは難しいとされています。
ただ、他の悪徳サプリメントと違い、小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」の成分表には、しっかりと含有量が明示されておりますし、ちゃんとしていると思います。
本当に「プベルル酸」という物質が混入したのであれば、避けられなかった事故になるのでしょうか。
近年稀に見る事態ですが、個人的には頑張って頂きたい企業ですので、原因の究明と正確な情報を待ちましょう。
ちなみに、このニュースをきっかけに患者さんから、使用しているサプリメントについて聞かれることが増えました。
いつもは「お金に余裕があって、飲んで安心するなら飲んでもいいじゃない?」と言いますが、今後は「機能性表示食品は安全性・有効性の評価は絶対ではないかもよ」と付け加えるようにしないとですね。
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おしまい