今回は「精神障害と犯罪」の第2弾です。
今回も初めに述べておきますが、
精神障害への偏見が助長されることを危惧しておりますので、あくまでも広い視野で物事を考えるきっかけになればと思います。
日本では、刑法犯全体に占める精神障害者の比率を見ると、1%以下で推移しています。(直近の令和3.4年は0.7%)
今回は、精神障害の関しては、「Rakel RE. Depression. Prim Care. 1999 Jun;26(2):211-24」を参考にしましたが、法曹界関係の論文は筆者の傾向もあるので、いくつかを参考にして、なるべく思考が偏らないようにしました。
最近、「うつ」が増えてきていると言われますが、それは「うつ」という単語が周知され、使われやすくなったからだとも思います。
自分が不利な状況になると「うつ」という言葉をキーワードとして物事から逃げていると批判や、「新型うつ病」と呼ばれるタイプが増えている現状もあります。
しかしながら、「うつ」を呈する疾患は、「うつ病」以外にも、適応障害・気分変調症・パーソナリティー障害etcと多くあります。
その中で、適切に対応しなければならない「うつ病」にちゃんとフォーカスが当てられているのか疑問が残ります。
今回は、そんな「うつ病」について調べてみました。
うつ病の疫学
アメリカでは成人の3分の1、日本では15分の1は、一生のうちに一度はうつ病にかかる可能性があります。 女性は男性の1.6倍うつ病に罹患する可能性が高いとされています。
また欧米では、平均発症年齢は25歳ですが、日本では「若年者」「中高年者」で頻度が高いとされています。
うつ病の症状
「抑うつ症状」
・気分が落ち込む
・気が滅入る
・もの悲しい
「意欲 / 興味の低下」
「身体症状」
・不眠症 (早期覚醒)
・倦怠感
・頭痛
・めまい
・動機
・食欲不振 etc
これらの症状から発症し、最終的には「自殺念慮 / 自殺企図」にまで発展します。
自殺率は15%にも及びます。
実際には、悲しみや憂鬱を抱えて受診する患者はほとんどいないと報告されています。
主には、上記の身体症状がメインになるようです。
※参考までに、うつ病の診断基準を下図に記載しております。
その中でも、「不眠症(早期覚醒)」は1年以内にうつ病が発症する可能性が3倍高いとされています。
うつ病の場合は、この高い自殺率と犯罪が密接に繋がっていると考えられています。
うつ病になると、物の見方が極端に悲観的になり、現実をゆがんで受けとめたり、将来に対して絶望して死にたくなったりすることから、自殺が起こりやすいということが一般的に知られています。
うつ病で自殺しようとする方に、子どもや高齢の親、病気の配偶者など自分が世話をしなければいけない家族がいる場合、その家族を道連れに自殺しようとして、殺人事件になることもあるようです。
悲しい事件ですね。
「不幸にして精神障害になった人が、さらに不幸にして犯罪行為を起こしてしまう」
前回も引用しましたが、調べれば調べるほど深い言葉です。
ご意見、ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。
おしまい