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医師の働き方改革とは?

2024年4月に始まる「医師の働き方改革」がどうなるのか、正直、医療業界で気にしているのは、事務や管理職など病院運営に関わる方々で、本当の意味での医療現場では期待もされていないでしょう。

今回は、メディアでも一瞬しか触れられない「医師の働き方」についてです。

まず、医師の時間外労働が問題になっていることはご存知でしょうか?

毎日、昼夜を問わず、救急車のサイレンが鳴っていますが、そこには消防士・看護師・医師・薬剤師・事務の方々とさまざまな職種が関わってきます。

医師に限って言えば、日中は外来や手術をやった医師がそのまま当直勤務をしています。そして、そのまま翌日も外来や手術をしています。

救急車が来ない間は暇だと思いきや、病棟管理やカンファレンスの準備、手術の準備や自己研鑽など、当直の時間を有効活用?しています。

完全に麻痺しておりますが、労働時間の概念が壊れている職場です。

 

そこで、「医師の働き方改革」が提唱されました。

下図に一般の労働者の方々と医師の時間外労働の基準についてまとめました。

医師の働き方改革(厚労省Hpより引用)

政府「ひとまず、時間外労働は労災認定ギリギリの960時間までにして下さい」

医師「場合によっては、1860時間って?」

政府「時間外労働に自己研鑽は含まれません」

医師「自己研鑽かどうかは誰が決めるんですか?」

※自己研鑽:研究や論文制作、最新の知見/手術の勉強など

 

実際に医師の自殺が報道されておりますが、闇に葬られている事件はもっとあります。

「医師の働き方改革」の移行期間が2019年から始まりましたが、月80時間を超えると病院から「注意」がきます。

これ以上、残業するなと。。。

それが面倒なので、残業が80時間を超えそうになると、「あえて申告しない」で逃れた経験がある医師は多いと思います。

 

これは読売新聞による報道ですが、

都道府県と政令市が運営に関わる251の公的病院のうち、54病院が医師の違法な長時間労働労働基準監督署から是正勧告を受けた。そのうち残業時間が労使の協定で定めた範囲を超過する違法残業が42病院。残業時間が、国の労災認定基準「過労死ライン」の月100時間を超えていた病院は少なくとも25病院あった。」

実際はこんなもんじゃないですよ。

 

しかしながら、これは「勤務医と開業医」・「専門とする科」・「医師の経歴・役職」・「急性期病院と慢性期病院」によって大きく異なります。

特に深刻なのは、「大学病院や基幹病院の若手勤務医」だと思います。

早く1人前になるためには寝る間を惜しんで仕事を覚えるのは当たり前なのかもしれませんが。。

ちなみに、ほとんどの大学病院では、このような条件で働いた場合、余裕で最低賃金を下回ります。

なので、さらに睡眠時間を削って、他の病院でバイトをしてお金を稼ぎます。

 

今回の政策は、名ばかりの裁量労働制になります。

厚労省の意図としては、「責任回避」の側面が強いのではないかと考えます。

働きたい人の足を引っ張るように労働時間を制限するのではなく、働いた分を給料に反映しないのはなぜなのでしょう?

そういった人種に支えられていた時代は終わりを迎えようとしていますが、大丈夫でしょうか?

 

価値観は人それぞれですが、私自身は長時間であろうと働くことに抵抗はありません。

ただ、家族との時間を過ごせなかったりするのが辛いだけです。

安心して休める環境を整えてほしいです。

もうちょっと頑張ります。

 

ご意見・ご感想や間違いのご指摘をお待ちしております。

 

おしまい